Vicor introduces new high-density automotive-grade power modules.
Vicor、車載グレードの電源モジュールを発表
高電力密度の電源モジュールで、電動車の48V電源システムを実現
2024年10月16日 米国・マサチューセッツ州 アンドーバー:
Vicor Corporation(本社:米国マサチューセッツ州、CEO: Patrizio Vinciarelli、NASDAQ上場:VICR、以下、Vicor)は、自動車 OEM・Tier-1が2025年に量産する48V EVシステムへ向けて、車載グレードの電源モジュール、3製品を発表しました。これらの電源モジュールは業界をリードする高い電力密度を実現しています。電源モジュールBCM6135、DCM3735、PRM3735 には、AEC-Q100認証を取得した Vicor 自社設計のIC が使われており、複数の自動車の顧客とPPAP プロセスが完了しています。
「Vicor は、スケーラブルでフレキシブルな小型の電源モジュールにより、自動車業界の電力密度の基準を刷新しました」と、Vicor オートモーティブ事業部門VPのPatrick Waddenは述べています。「当社の高性能コンバータを使うことで自動車メーカーは、車両全体の電源システムのサイズと重量を減らすことができる新しい可能性を、手に入れることができます。」
BCM6135 は、変換効率98%、 出力電力2.5kWのBCM® 中間バスコンバータであり、トラクションバッテリーの 800V から 安全超低電圧 (SELV) の48V に変換し、車両に供給します。高電圧と低電圧の間は絶縁されており、DC-DC コンバータのスペースを大幅に小さくできます。BCM6135 は電力密度が 158kW/L と高いため、EV 電源システムの1段めの DC-DC コンバータのサイズを小さくでき、車両重量を軽減できます。双方向電圧変換ができ 負荷電流の過渡応答速度が8 メガアンペア/秒と速いため、25 ポンドの 48V バッテリーをBCM6135 に置き換えることができます。xEV の仮想 48V バッテリーとして使うことができるため、コストと重量をさらに減らすことができます。
DCM3735は、出力電力2.0kW、安定化していない 48V を入力して 12V の安定化出力電圧に変換するDC-DC コンバータ DCM™です。入力電圧範囲が広いためさまざまな自動車アプリケーションに対応でき、出力電圧は 8 ~ 16V の範囲で調整できます。DCM3735 は電力密度が 300kW/L と高いため、ゾーン ECU アプリケーションで 48V のバス電圧を 12V サブシステムにブリッジするアーキテクチャに対して、非常に魅力的なモジュールです。
PRM3735 は、変換効率99.2%、出力電力2.5kW、48V 電源用のレギュレータPRM™です。フットプリントが小さく、電力密度が 260kW/L と高いため、DC-DC コンバータ全体を小型、軽量化することができます。新しい車両のアーキテクチャで、安定化した電源が必要な48V負荷へ給電する用途に最適です。
これらの新しくリリースするモジュールを組合わせることで、300通りを超える構成が可能であり、さまざまな革新的な車両サブシステムへ向けて、極めて高いフレキシビリティとスケーラビリティを提供することができます。さらに、市場が 12V から 48V のゾーン アーキテクチャへ移行する中、これらのモジュールを使うことで 48V への変換と 48V からの電力変換を非常に高効率で実現できます。3 つのモジュールは、すべて簡単に並列接続して電力容量を増やすことができます。並列接続された各モジュールは、最適に性能が出すように自動的に電流バランスします。これらのモジュールを使うことで、800V、400V、48V、12V システムの複雑な課題が解決できます。
「当社の電源モジュールを使えば、一次バッテリー(800Vまたは400V)から48Vさらには負荷の電圧まで、簡単に変換できます」と Waddenは述べます。「モジュールは汎用性が非常に高く、このモジュールを使うことで、お客様の電源システムのサイズと重量を低減しながらシステム効率の改善を実現しています。」
Vicor の電源モジュールを用いた、車両全体の電力供給ネットワークを改善する革新的な方法:
• アクティブサスペンションをEVで完成させる
アクティブサスペンションシステムは必要な電力が大きいので12V電源で供給することは困難です。48V電源バスに変更して、双方向BCM6135を用いて高電圧バッテリーから48Vへ降圧することで、アクティブサスペンションの高いパフォーマンスを効率よく実現できます。このアプリケーションでは、アクティブサスペンションが回生電力負荷であるため、回生電力をバッテリーに戻します。電力回生時には電流の向きが瞬間的に反転するため、電流のスルーレートが非常に高いBCM6135が役立ちます。
• 低電圧バッテリーを無くす、または小容量化
業界トップクラスの電流スルーレート性能を持つBCM6135を使うことで、48V バッテリーを変えることができます。 xEV 車両で従来の48Vバッテリーの代わりに、BCMを仮想 48V バッテリーとして使うことで、コストと重量の低減ができます。BCM6135 は無負荷から最大出力電流まで変化するときのスルーレートが 8.0MA/s に達するので、従来の800Vトラクション バッテリー から 48V に降圧して48V 補器バッテリーを備えたシステムから電力を取り出すのと同じ速さで、負荷に電力を供給できます。このスルーレートに匹敵する DC-DC コンバータは他にありません。BCMを使うことで車両重量を最大 25kg 削減しながら、車両コストを最大 100 ドル下げることができます。
- • 48Vゾーンアーキテクチャは、必ずロードマップにある
新しい電源モジュールを使うことで、48V ゾーン アーキテクチャ へ簡単に移行できます。DCM3735 を BCM6135 と組み合わせて使うことで、BCM6135 の48V 出力を安定化した 12V 電源に変換します。DCM3735 を48V ゾーン アーキテクチャの一部として使う場合、DCM3735 を離れた位置に配置して、車両ゾーン (たとえば右側) にローカル 12V 電源を作ることができます。この方式でPDNを設計すると、12V 負荷に効率よく給電しながら、48V バスへ移行することで見込まれるコスト削減と重量低減の最大 90% が実現できます。
• プリチャージにより電流サージを防ぎ、重量を軽減する
プリチャージは、車両の起動プロセスに必要なステップです。これにより、バッテリー接続時の電流サージが抑えられ、負荷 (ポンプやコンプレッサーなど) の損傷を防ぐことができます。現在、これには高電圧コンタクタと抵抗器が使われており、1kg の重量と 50 ドル以上のコストが掛かります。代替案として、メイン DC-DC コンバータとして使うBCM6135 と PRM3735を、車両の低電圧バッテリーと合わせて使う方法があります。BCM6135 を昇圧方向に使うと、低電圧バッテリーの電力を高電圧までブーストすることができます。ブーストした高電圧をプリチャージに使うことで、従来のプリチャージ用 コンタクタと電力抵抗器が不要になります。
電源モジュールはフレキシブルに使うことができるため、多くの自動車アプリケーションに電力を供給することができます。さらに重要なのは、48V化の対応ができることです。高電圧トラクション バッテリーを 48V に変換する場合でも、48V バスから負荷点に電力を供給する場合でも、従来の 12V サブシステムを新しい 48V ゾーン アーキテクチャで動かす場合でも、Vicor の高性能な車載グレードの電源モジュールを使うことで、容易に設計ができ電力損失を低減しながら、最高の電力密度が実現できます。
Vicor について
Vicorは、高性能電源モジュールのリーダーであり、電力源から負荷点まで高い電力密度と高効率を実現する電力供給ネットワークを、モジュールで構成する電源システムソリューションによって実現し、お客様の技術革新に貢献してきました。当社は、配電アーキテクチャ、電力変換技術、パッケージ技術を、長年にわたり進化させることで、電源モジュールの電力密度、効率、電力容量を向上させ続けてきました。Vicor は、ハイパフォーマンスコンピューティング、産業機器、自動車、航空宇宙・防衛などのお客様に製品を供給しており、要件の厳しい産業で40 年以上の、電源モジュールの設計、開発、製造の経験があります。Vicor の特許技術である高周波 DC-DC電力変換テクノロジーは、自動車市場に最適です。
詳しくは、Vicorウェブサイト:www.vicorpower.com/ja-jp をご参照ください。
Vicor とBCM®は、Vicor Corporationの登録商標です。
DCM™ と PRM™ は、Vicor Corporationの商標です。