Vicor、Ampaire社と協業し、高効率の電源システムで環境に優しい空の旅を推進
Vicor、Ampaire社と協業し、高効率の電源システムで環境に優しい空の旅を推進
実績のある航空宇宙向け電源ソリューションを適用して、設計を簡素化し、市場投入期間を短縮
※ 本リリースは、2020年6月17日(米国東部)に発表されました。
Vicor Corporation(本社:米国マサチューセッツ州、CEO:Patrizio Vinciarelli、NASDAQ上場:VICR、以下:Vicor)は、電動航空機の開発を手掛けるAmpaire社(本社:米国カリフォルニア州、CEO:Kevin Noertker、以下:Ampaire)との協業を発表しました。
自動車業界では、二酸化炭素(CO₂)排出量の増加に対する懸念の高まりにより、電気自動車(EV)およびハイブリッド電気自動車(HEV)の需要が世界的に高まっています。航空業界でも同様の変化がおきており、電動航空機のコストを削減できれば、航空サービスが行き届いてない遠隔地へ空の旅を広げることができ、短距離飛行「エアタクシー」サービスが利用できる空港や乗り継ぎポイントも増えます。
Ampaireは、環境に配慮し、コストを抑えた安全で静かな電動航空機を開発することにより、このビジョンの実現に取り組んでいます。Ampaireは有害排気物質がゼロの完全電動航空機によって、従来の燃焼エンジンの航空機との比較で、燃料コストを90%、メンテナンスを50%、離着率時の騒音を66%削減することを目指しています。
電動航空機に切り替えると、米国内だけでも、目的地の空港の数は500から5000と10倍に増える可能性があります。その結果、遠隔地の人々は非常に簡単に航空機を利用できるようになり、運用コストが高いために利益が上がらない地域の航空会社の収益改善にも繋がります。
航空機の、より環境に配慮したクリーンな動力
Ampaireは最初のテスト飛行にあたり動力の冗長性を確保するために、動力を2重化するアーキテクチャを開発し、現在は試作段階です。これによって、積載量や巡航速度、飛行経路に基づいて、燃料と電力を合わせた動力を、必要な電力と推進力とに配分する技術開発と評価を行います。
Ampaireの試作機(セスナ337スカイマスター改造機)は、通常の燃焼エンジンのプロペラが機体後方にあり、電動のプロペラが前方に配置されており、インラインのパラレルハイブリッドアーキテクチャを構成しています。飛行中は、双方の推進システム間で動的に動力が分配されて、騒音を含めた単位燃料あたりの速度や推進力が最適化されます。
ラピッドプロトタイピングに不可欠な高電力密度の電源ソリューション
Ampaireの試作機の電力供給システムは、電圧範囲500~738Vの高電圧バッテリーで構成されています。一般的な航空機の制御・モニタシステム機器は28V電源で動作するため、広い電圧範囲の入力を28Vに調整するDC-DCコンバータが必要でした。また、バッテリーが高電圧であるため、絶縁が必要であり、最大電力は500ワットでした。
Ampaireの設計チームの要望は、小型、高効率、簡単な放熱構成、短期間の試作品開発であり、彼らはまた、自ら電源回路を設計することも回路基板を採用することも望みませんでした。これらの要件を満たすため、Vicorは、効率と電力密度を最適化し、放熱を簡素化するために、電圧変換とレギュレーション(調整)の機能を分けて、2ステージ構成で行うことを提案しました。電圧変換比固定バスコンバータ(BCM)を用いて高電圧バッテリーを絶縁・降圧し、この出力を次段の低電圧DC-DCコンバータにより28Vに調整します。
電動航空機の未来
Ampaireは、商用化の実証のために電動航空機を運行して、電動航空機産業を牽引します。試作機によるテスト飛行は、ハワイに拠点を置くモクレレ航空で予定されています。モクレレ航空はハワイ諸島を結ぶ短距離路線に次世代のAmpaire製の商用航空機を採用したいと考えています。将来的に、Ampaireの航空機は9人から19人の乗客を乗せ、ホノルルからカフルイまでの90マイルを飛ぶ見込みです。
Ampaireの電動航空機ついて、詳しくは下記ページをご参照ください。
Ampaire社 電動航空機の未来(Vicorウェブサイト)
Ampaire社について
Ampaire社は、ロサンゼルスを本拠地とする電動航空機開発会社であり、実用的な機体開発を行う、もっとも信頼される電動航空機メーカーになることを目指しています。Ampaire社のアプローチ(既存の旅客機を改造する)は、商用航空機の電動化を実現するうえで、最も速く無駄がなく、資本効率の高いアプローチです。Ampaire社の使命は、安全でクリーン、静かで運用コストが低い電動航空機を提供することで、より多くの空港でより多くの人々が航空機を利用できるようにすることです。www.ampaire.com
Vicor Corporationについて
Vicorは、高性能モジュール型電源コンポーネントの設計、製造、販売を行う米国(本社:マサチューセッツ州アンドーバー)の電源専業メーカーです。HPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)、オートモーティブ、通信ネットワーク、産業機器、ロボティクス、鉄道、航空防衛アプリケーションなどへ向けて、広く事業を展開しています。
日本法人のVicor株式会社(Vicor KK)は2017年に設立され、電源コンポーネントの販売・技術サポートを行っています。詳しくは、www.vicorpower.com/ja-jp をご参照ください。
Vicor、BCMはVicor Corporationの登録商標です。